たぴです。
ニッセイ外国株式インデックスファンドは2013年12月から販売が開始された投資信託銘柄です。
つみたてNISAが設定以後乱立されるインデックスファンドの中では古株の部類であり、米国市場好調を背景に先進国株式のジャンルにおいては他のどの銘柄よりも早く景気の波に乗り、新規銘柄を牽引してきました。
この度、本銘柄が信託報酬の値下げを発表しましたので、改めて分析をしてみたいと思います。
インデックス投資をはじめた2018年当初、基準価額が高くて手が出なかった銘柄です(基準価額の意味も知らなかった)
ニッセイ外国株式インデックスファンドとは?
純資産の伸びと基準価額の推移

純資産総額は2013年設定当初から順当に増えていますが、2019年辺りからは競合のインデックスファンドにシェアを奪われて伸びが鈍くなっています。
指数はMSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動し、長年ベンチマーク通りのインデックスファンドらしい動きができています。
配当除くの指数連動の場合は配当部分が不透明になるよね。配当込みの指数は配当も含めた明瞭会計で嬉しいね。

純資産総額は1,536億円。流石先駆者といったところです。
基準価額も同様に、運用年月に比例して17,646円と、競合の銘柄と比較しても頭ひとつ抜けた価格になっていますね。
しかし、基準価額が高い=割高ではありませんのでご安心ください。
基準価額 = 純資産総額 / 総口数(1万口を1口として)
設定当初の保有株式を1万口=1万円と決めたものが現在いくらになっているかを表している、というだけの話です。
ニッセイ外国株式インデックスファンドを1万円買うと5,667口買えるが、仮に今新たに新規ファンドを設定するとした時に1万円で購入できる1万口は同じ価値。
指数と購入時期が同じならば、どの投信銘柄を通して購入しても最終定な投資対象の価値はほぼ一定です。ご安心を!
国・地域・業種別組入比率

国別組入比率です。日本を除く先進国に分散投資されており、中でもアメリカが68.9%と突出しています。
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本)のアメリカの比率は59.3%ですので約10ポイントほどアメリカ比重が高まります。
業種別組入比率はS&P500と比較して情報技術セクターが平均的な割合に収まっています。こちらもITに傾倒したくない方には良い特徴です。
銘柄選定の目安にしてください。
組入上位10銘柄と銘柄数

組入上位10銘柄です。こちらはお馴染みの銘柄ですね。
分散数が1315銘柄ですので時価総額1兆ドルのアップルやマイクロソフトが3%程度になるまで幅広く分散されているといえます。
値下げ後の信託報酬とeMAXIS Slim先進国株式との総コスト比較
信託報酬率の引き下げがありました
2020年1月20日にニッセイアセットマネジメント(株)より信託報酬率引き下げのお知らせがありました。
開示書面によるとインデックスファンドシリーズ(<購入・換金手数料なし>シリーズの合計純資産総額が2,300億円を超え、その支持へ応じる形での値下げのようです。
今回の値下げで6度目の値下げとなります。投資家としては価格面での陳腐化を防いでくれる非常に頼もしいファンドです。

余談ですが、シリーズ累計2,300億円中、外国株式インデックスファンドが1,609億円ですので、本ファンドはニッセイの看板を背負っていると言えるでしょう。

今回の信託報酬率引き下げにより、税抜き0.0930%、(税込0.1023%)の手数料となりました。
年末に同じく値下げを行った三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim先進国株式インデックスは信託報酬率0.0965%(税込0.10615%)をですので、今回はそれを若干安さで上回る設定にしてきました。
前回の0.0999%(税込0.10989%)への値下げ時はeMAXIS Slim先進国株式インデックスと同額に設定し、足並みを揃え値下げ合戦の収束を試みるような素振りでしたが、実際には思惑通りにはならなかったため、今回は真っ向勝負を仕掛けたといったところでしょうか。
ニッセイ外国株式インデックスファンドの総コスト
信託報酬率引き下げを受けて実質コストはどの程度の水準になったのでしょうか。
直近の2019年11月の交付運用報告書から算出した隠れコストを今回の信託報酬に加えてみました。

注意点として、交付運用報告書の信託報酬が0.113%となっているのは、2019年6月に行った5度目の値下げ(税込0.10989%)が対象期間中に行われた事と消費増税もあり、公表値とはズレが生じています。
(今回は差し替える部分ですので問題ありません)
また、内部的に隠れコストの削減も行っている様で、前期比-0.027%となっています。(運用報告書の対象期間が365日丁度のため数値のまま使用しています。)
結果は・・・
項目 | 費用 |
信託報酬 | 0.1023% |
隠れコスト | 0.061% |
(合計)実質コスト | 0.1633% |
めちゃ安!隠れコスト削減の相乗効果が出ています。
eMAXIS Slim先進国株式インデックスの総コスト
eMAXIS Slim先進国株式インデックスと比較してどちらが安いのか、どちらを保有すれば良いのか確認していきましょう。


同様に算出した隠れコストに信託報酬を足して計算します。
▼純資産額500億円未満の部分の実質コスト
項目名 | 費用 |
信託報酬 | 0.10615% |
隠れコスト | 0.076% |
(合計)実質コスト | 0.18215% |
隠れコストの影響が大きく、ニッセイの方が安くなっていますね。
しかしeMAXIS Slimシリーズは純資産総額に応じて値下げをするしくみ(受益者還元型信託報酬)があります。
現在の純資産総額は807.53億円のため、差し引いた307.53億に対し、税込0.10252%が適用されます。
これを加味すると以下の様になりました。
▼純資産額500億以上を考慮した実質コスト
項目名 | 費用 |
信託報酬 | 0.10472% |
隠れコスト | 0.076% |
(合計)実質コスト | 0.18072% |
比較結果とまとめ
ニッセイ外国株式インデックスファンドが一歩リードという結果になりました。
当初は信託報酬の値下げが功を奏しニッセイ有利の展開になるのかと考えていましたが、蓋を開けてみると隠れコストの削減が大きく貢献した格好になりました。
とはいえ、一般的に「隠れコスト」はあまり注目される項目ではなく、やはり「信託報酬率」単体でも他ファンドと比較した優位性を実現する値下げを行ったと考えることができます。
隠れコストはニッセイの純資産総額1,500億円という超大規模ファンドだからこそできる技なのかもしれません。
しかし、eMAXIS SlimシリーズもバックにはeMAXIS(FAT)シリーズのマザーファンドがあるわけですから、2シリーズ通算では規模では優っていますので、今後の隠れコストの削減には期待していきたいですね。
投資家としては、信託報酬、隠れコストともに削減を目指す、バンガード のような真の受益者還元を追求してもらいたいです。
今回の結果はニッセイだけど、どちらを選んでも遜色ない投資信託だよね。