基本は時価総額加重平均
近年の株式投資においては、基本的には株価指数に則ったVOOやVTIで株式ポートフォリオの大部分を埋めることが常套手段です。
時価総額加重平均で広く分散されたポートフォリオは非常に素晴らしいものです。
もしも手動で時価総額加重平均を作るとしたら、例えば年に一回、米国企業500社〜数千社の時価総額を調べ、所有配分調整を加えるという大仕事が必要です。
これらを経費率0.03%程度で享受できる良い時代になりました。
まずはVOOやVTIでポートフォリオの大部分を埋めましょう。
コア・サテライト戦略
資産の大部分を任せるコア部と利益追求を目的としたサテライトを1つ〜複数作ることで全体のリターンを押し上げる戦略です。
反対にサテライトでリターンが下がる事があってもコア部が盤石であればトータルではそれなりの成績に収まることになります。
本項ではS&P500ETFをコアとし、スマートベータをサテライトに据えて説明していきます。
時価総額加重平均に自分好みの彩りを追加。スマートベータ投資とは?
次のステップとして、株式投資と向き合い、もっと利益や知識を得たい方にはスマートベータ投資という選択があります。
スマートベータ投資とは、時価総額加重平均よりも好成績が見込めると予想されるスマートベータ指数に沿ったインデックス投資のことです。
過去の傾向や趣向に基づいて自分好みにチョイスできるようになっています。コアにサテライトを追加してみましょう。
代表的なものには以下のものがあります。
- 成長セクター戦略 … 業界単位に分けた投資法で、好成長の業界全体に投資できる
- 高配当戦略 … 配当金額に焦点を絞った戦略。バリュエーション戦略と銘柄が近い傾向
- グローバル戦略 … 米国外の先進国や新興国に投資
- バリュエーション戦略 … 優良ながらも割安な銘柄に投資する戦略。高配当になりやすい(高配当の項参照)
成長セクター戦略
セクター投資戦略とは、一般的に10種の業界単位に分けた投資法です。
成長産業と斜陽産業を見極め、将来発展すると期待できるセクターに投資します。
ジェレミー・シーゲル氏の書籍「株式投資の未来」によると、S&P500のセクター別構成比では、ここ25年程で情報技術、金融とヘルスケアの比率が上昇中。対して、素材とエネルギーが縮小傾向となっている。
各セクターに対応するバンガードETFと比較用にVOOのパフォーマンスをまとめました。
セクター名称 | バンガード | 年初来 | 10年 | 経費率 |
電気通信 | VOX | 25.28% | 8.96% | 0.10% |
一般消費財 | VCR | 23.88% | 16.71% | 0.10% |
生活必需品 | VDC | 22.89% | 11.87% | 0.10% |
エネルギー | VDE | 2.03% | 1.53% | 0.10% |
金融 | VFH | 28.54% | 12.02% | 0.10% |
ヘルスケア | VHT | 18.16% | 15.09% | 0.10% |
資本財 | VIS | 30.10% | 13.77% | 0.10% |
情報技術 | VGT | 43.19% | 17.68% | 0.10% |
素材 | VAW | 20.09% | 9.16% | 0.10% |
公益事業 | VPU | 21.11% | 12.25% | 0.10% |
S&P500 | VOO | 27.74 % | 14.47 % | 0.03% |
バンガードのパフォーマンスでも情報技術とヘルスケアが優秀。
VOO超えの一般消費財も捨てがたいセクターとなっています。
金融はここ10年ではそれほど目立った動きはないようですが、セクター間でも一定の循環がありますので、今後も同様の成績とは言い切れません。
主に銀行や投資会社で構成されている金融セクターですが、個人的には話題のIOTやキャッシュレスに沿った事業改革を行える企業と、そうでない企業で淘汰が進んでいくと考えています。
たぴのおすすめはヘルスケアセクターです。ヘルスケアは事業内容が製薬の開発から保険まで様々ですが、主力である製薬の開発には莫大な投資が必要で、失敗に終わる事も多々あります。
浮き沈みの激しい業界は個別株ではなく業界全体に投資することで、成長をもれなく享受できます。
高配当戦略
配当利回りが比較的高い銘柄で構成し、受け取った配当金を再投資し続ける投資戦略です。
たぴのお気に入りの本である株式投資の未来(ジェレミー・シーゲル著)には以下のように書かれています。
1871年から2003年にかけて、インフレ調整ベースで、株式の累計リターンの97%は、配当再投資が生み出してきた。キャピタルゲインが生み出した部分は3%に過ぎない。
株式投資の未来
配当利回り※1が高いということは株価が割安〜適正価格であり、株価を決める要素として利益の大きさが大きく影響していますので、配当性向※2も高いことが多いです。
簡潔に言えば株主還元に積極的な割安銘柄ということです。
※1配当利回り=1株当たりの配当÷今の株価×100
※2配当性向(%)=1株当たりの配当額÷1株当たりの当期純利益×100
バンガードでの高配当ETFはVYMです。
銘柄 | バンガード | 年初来 | 10年 | 経費率 | 直近分配金利回り |
高配当 | VYM | 20.50% | 12.66% | 0.06% | 3.06% |
S&P500 | VOO | 27.74% | 14.47% | 0.03% | 1.88% |
たぴの見解としては、ETFを使った高配当戦略には否定的です。
高配当=ディフェンシブ(値上がっていないので極端な値下がりも少ない※)を生かして、自分自身でポートフォリオを作ることで、若干のリスク増加と大幅な利回り向上を狙えると考えるからです。
※価格変動の事をボラティリティといいます。
例えばAT&T、エクソンモービル、アルトリア、フィリップ・モリス等の高配当銘柄を組み込むことで配当利回り4%台にすることは可能です。
あくまでサテライトの役割ですので、少々やんちゃな構成でもリスクは少ないと考えています。
グローバル戦略
「たぴの米国株式投資」では米国を基準に考えていますので、グローバル戦略とは米国外の株式・ETFの購入ということになります。
グローバル戦略は、米国株が軒並み好調な現在では、リターンの追求よりもリスクの分散という側面が強いです。
米国が景気後退(リセッション)した際のリターン補完としての米国外先進国に投資する場合、もしくは、未来の新興国の繁栄に掛けるということでしょう。
銘柄 | バンガード | 年初来 | 10年 | 経費率 |
全世界(除く米国) | VEU | 16.74% | 4.94% | 0.09% |
先進国(除く米国) | VEA | 17.98% | 5.48% | 0.05% |
新興国 | VWO | 12.55% | 3.13% | 0.12% |
ヨーロッパ先進国 | VGK | 19.20% | 5.20% | 0.09% |
アジア太平洋先進国 | VPL | 14.65% | 6.07% | 0.09% |
たぴは米国集中型です。サテライトとしてグローバル企業の個別株を購入しているため、リスクは分散できていると考えています。
しかし、おすすめを選ぶのであればVEUですね。
VTIとVEUでVT(全世界)になりますので、サテライトとしてVEUを選び、割合はお好みでと言ったところでしょう。
ただし一点注意点があります。
VEU、VEA、VPLは日本株がかなり含まれています。
VEU17.5%、VEA22.2%、VPL60%が日本株式です。
日本株式をわざわざ米国ETF経由で購入することで、米国で課税される10%を多く支払う事になります。
日本を主体にフィルターを掛けたい場合は日本の投資信託を選ぶと良いでしょう。
投資信託では以下の商品がおすすめです。
信託報酬 | |
eMAXIS Slim全世界株式(除く日本) | 0.1144% |
eMAXIS Slim先進国株式(除く日本) | 0.10615% |
eMAXIS Slim国内株式(TOPIX) | 0.154% |
eMAXIS Slim新興国株式インデックス | 0.2079% |
三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slimシリーズは信託報酬で最安値を追求すると謳っており、この金額で買付手数料無料、配当金再投資が自動でされる(税金の繰延)とあればETFと遜色ありません。
TOPIXについては日銀のETF買い支えを良く見るか悪く見るかで評価が別れますが、2019年は米国についで二位の値上がり益を達成している事も事実です。
まとめ
これらのサテライト戦略からお気に入りを複数選び、長期に渡り保有し続けられる愛着の持てるポートフォリオを目指す事をおすすめします。
中級者は投資信託とETFをうまく使い分けよう!
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