iPhoneに依存していると指摘され続けて、はや数年が過ぎたアップル。
その事業展開は徐々にiPhoneから脱却しつつあります。
同社は、iPhoneからタブレットやアクセサリー、サービスへユーザー体験の移行を促している真っ最中です。
iPhoneの新規購入者数は激減
iPhoneの新規購入者数は2016年の1億2900万人から2019年には4800万人に激減しました。
なんと63%も減少しているのです。
客観的に主力製品が半減以上の売上減少を起こしていたら大きな騒ぎになっていそうなものです。
しかし、アップルの売上は年平均6%以上の成長を続けています。
iPhoneの販売台数をカバーし、さらに成長へ繋げている事業の正体は何なのでしょうか?
iPhoneのプレミアムモデルの確立
アップルは、iPhone11Proの発売時に iPhoneの名称と価格帯を変えました。
従来はフラッグシップモデルをiPhoneのナンバリング表記、廉価モデルを iPhone5cやiPhoneXRなど、ナンバリングとは別に文字が追加されていました。
名前に廉価モデルの愛称が入ってしまっていたために、マイナスのイメージがあったんですね。
このマイナスイメージが廉価モデルの売上に悪影響を与えていました。
そこで変更したのが名称と価格帯の一段階の引き上げです。
フラッグシップモデルを創設、iPhoneProと名付け、通常モデルをiPhoneとしました。
従来のフラッグシップモデルのiPhoneを価格そのままに通常モデルに降格したのです。
そして、廉価モデルのSE2の登場へ繋がっていきます。
アクティブ端末数増加と事業多角化
iPhone11Pro発売時にティムクックCEOは言いました。
「長く使えるiPhoneを作りました」
iPhoneの想定使用期間を2〜3年から3〜4年に延長し、プレミアム感と共に耐久性の向上を図りました。
iPhoneの機能面の進化が鈍化している以上、今まで通りの買い替えサイクルは期待できないため、長く使える安心感を提供することにシフトしています。
そして、SE2による廉価モデルを新興国中心に普及させ、アクティブ端末数を増やしています。
アップルのアクティブ端末数は、年々増加傾向にあり、2016年には10億台でしたが、現在は15億台に及びます。
同社はアクティブ端末数の拡大に奔走しているのです。
では何故、アクティブ端末数を重要視するのか。
それは自社のサービス分野を売り込むためのプラットホームなる土壌にするためです。
アクティブ端末数というプラットホームを粛々と拡大するアップル。
アップル製の端末を持っていれば、端末ごとに特色のある様々なサービスを受ける事ができます。
例えば、iPhone、iPad、Mac、AppleTVがあれば、アップルオリジナルの動画配信サービスを楽しむ事ができます。
iPodやAirPodsがあればアップルミュージックを楽しむこともできます。
AppleTVやアップルミュージックはサブスクリプションといい、月額制の料金体系にすることで、安定収入が得られます。
端末売りだったAppleにとっては、毎月安定収入が得られる事業は喉から手が出るほど欲しかった事業でしょう。
また、Apple WatchやiPhoneではキャッシュレス決済も可能です。
さらに新たな試みとして、日本でもアップルカードというクレジットカードを作成できるようになる予定もあります。
これは端末を使ってキャッシュレス決済の設定をすれば、どこで買い物をしても2%の値引きが得られるカードのようです。
アップルの端末でアップルカードを紐づけたApple Payを使用すれば、全世界のユーザーの買い物の数パーセントが同社の収益になります。
これらサービス部門の売上高は全体の23%を占めるまでに成長しています。
このようにアップルはiPhoneからプラットホーム戦略へ舵を切っています。
ティムクックを筆頭に、これまでの高利益体質に胡座をかくことなく、事業改革ができる会社風土が備わっており、今後も成長が期待できる企業だと考えます。
この記事の経営指標はWSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)誌から得ています。
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