アルファベット傘下のGoogleはスマートフォン向けOS(オペレーティングシステム)の最新バージョン「アンドロイド11」のベータ版をリリースした。
インターナショナル・データ・コーポレーション(IDC)の調査によれば、アンドロイドは2014年以降、スマートフォン年間販売台数の85%の搭載シェアを占め、残りの15%はアップルの「iOS」である。
また、Googleは、アンドロイドOSユーザーの間で最新バージョンの使用が進まない問題も認識しており、解決へ少しずつ前進しているようだ。
現行最新バージョン「アンドロイド10」のユーザーシェアは19%、2年前の調査では最新バージョンの使用は対応機種台数の10%に満たなかったとWSJは報じている。
アンドロイド10 | 18.7% |
パイ | 34.7% |
オレオ | 18.8% |
ヌガー | 10.6% |
マシュマロ | 8.7% |
ロリポップ | 4.9% |
最新OS使用率向上はGoogle謹製Pixelの普及が鍵か
最新バージョンのユーザー使用率は着実に進展しているが、まだまだ楽観視できる状況にはない。
なぜ最新バージョンリリースが使用率に繋がらないのか。
それは、スマートフォンの寿命とOSアップデートのリリース期間の不一致が大きな要因のように思える。
アンドロイドを搭載したスマートフォンは、OSはGoogleが、端末の製造と、ハードとOSとのシステム調整は端末メーカーが担っている。
Google Pixel以外のスマートフォンでは、購入後のOSアップデートは最低1回、セキュリティアップデートは2年間となっている。
一方、Google謹製とも言えるGoogle Pixelは少々長く、最新OSを3年間維持できるサポート体制だ。
スマートフォンの使用期間を考えると、サポート期間は最低3年は必要だろう。
そうでなければ、端末を長く愛用するユーザーはOSアップデート期間を過ぎても使用することになる。
端末の製造を受け持つメーカーにとっては、毎年新しい端末を販売しながら、販売終了後も発売3年間のサポートを行うことは避けたいところだろう。
最新OSの使用率向上には、リリース期間の長いGoogle Pixelのシェアの拡大が鍵になるだろう。
OS普及の弊害セキュリティ面の懸念、新サービスの提供に足かせ
最新OSが浸透しないことによる弊害は、主にセキュリティ面の脆弱性と、新機能やサービスの提供に時間がかかることだろう。
今やスマートフォンは個人情報の宝庫となっている。
キャッシュレス決済や、複数のWEBサイトやSNSユーザーにとっては強固なセキュリティは必須の機能となってしまっている。
また、最新OSによる新機能の提供においては、例え非常に魅力的なサービスであっても、アップデート対象外の端末ユーザーにとっては何の意味もなさない。
それは、新機能を盛り込むGoogleにとっても、意図した効果を得られない点においては同様だ。
事実、Googleの新機能やサービスは端末OSにそれほど影響されない媒体として、ブラウザやアプリでの提供に限られている。
スマートフォンでのシェア率85%はプラットフォームとして成熟しており、これを活かす有益なエコシステムの開発に期待したい。
スマホGPSから得る情報をウェイモ搭載自動車やMaaSへ活かして欲しいね